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「ワラスポ」それは世界をつなぐ幸せのことば

むかし、インドネシアに旅行に行ったときのこと。
海岸沿いの道を歩いていたら、現地の人がにこやかに手を上げて声をかけてきた。

「ワラスポ!」

現地語で「ごきげんよう」くらいの挨拶だと思ったので、僕も手を上げ返して歩き去った。
一緒に旅行していた連れは半笑いで僕に教えてくれた。
「water sports」って言ってたんだよ、ウォータースポーツやりませんかと声をかけてたんだよ、と。
海のほうを見ると、ジェットスキーやパラセーリングに興じている観光客の姿が見える。
しかし英検5級の名にかけて、それを認めるわけはいかない。
確かにあれは現地語で「الئرلجاوي(ワラスポ)」だった。
もし本当に英語だったら、そんな簡単な単語聞き間違えるはずがない。

連れは英検準1級だそうだ。
僕はそっと現地人のほうを振り返り、心のなかで「الئرلجاوي(ワラスポ):ごきげんよう」とつぶやいた。
なんだろう、キューッとなってたこころがちょっとポカポカしてきた。

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