脳神経内科

都会の罠1

大学受験の時、東京のとあるホテルにひとりで泊まってた。
田舎もんが背伸びして調子に乗ってホテルのレストランに行ってみた。
蝶ネクタイのウェイターが、飲み物は何にするかと訊いてきたので、メニューをみると、
ジュース  オレンジ・アップル・グレープ   ・・・850円
と、高校生にしたらちょっと気持ちの整理に時間がかかりそうな値段がついていた。
下の方をみていくと、
トニック・ウォーター  ・・・400円
とあった。
これが一番安かった。
僕は迷わず、
「トニックください」
と注文したのだが、ウェイターは首を傾げながら、
「トニック・ウォーターですか?」
と確認してきた。
当然、2杯も必要ないので、
「いや、トニックだけでいいです」
と答えた。
ウェイターは困った顔をしながら、トニックとウォーターは別ものではなく、トニックウォーターという1つの飲み物だと言うことを説明してくれた。
僕はこっ恥ずかしさを押し隠し平然を装い、そのトニックウォーターとやらを注文した。
”オレンジ・アップル・グレープ”の表記から考えたら、”トニック・ウォーター”はトニックとウォーターであって然るべきだ。
そうやって己の過ちを正当化する作業に入っていると、ウェイターはさらに残酷な追い打ちをかけてきた。
「トニックウォーターだけでよろしいのですか?」
「は?・・・はい・・・」
こいつ何を2杯も頼まそうとしてんねん・・・
そうしてやってきたトニックウォーターは、クソまずい炭酸水だった。
後で分かったことなのだが、トニックウォーターは酒を割るものらしい。
酒を割ってはないけど、顔は赤かったと思う。

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