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都会の罠2

前述のレストランでトニックウォーターを飲んでいると、ウェイターが食事のオーダーをとりにきた。
メニューには、ハンバーグ2,500円とか訳の分からない値段がついてた。
高校生には受け入れがたい値段なので見なかったことにして、下の方もみていくと、
タルタルステーキ 1,200円
とあった。
これ比較的やすいやんと思い、これとライスを注文した。
すると件の蝶ネクタイクソウェイターが、またしても不思議そうな顔で、
「タルタルステーキと、ライス? でよろしいのですか?」
と注文を疑問形で確認してきた。
ひとの注文に難癖つけて感じの悪いウェイターである。
返事をするのも鬱陶しいので、僕は小さく頷いた。
しばらくして運ばれてきた料理は、ユッケみたいなやつで、昔のシングルCDくらいの大きさで、脇にちっちゃいパンが2切れ添えられていた。
「あれ? 生やん・・・」
僕はとてつもなく動揺したが、知ってますよみたいな顔してそれを口に運んだ。
やけに香辛料の効いた生のミンチ肉で、ごはんがすすまないことは瞬時に理解できた。
これをおかずにこのライスを食べきれるのかと思うと、悲しくなってきた。
しかもパンまでついてる。
卵とマヨネーズとパセリを混ぜ合わせたソースがかかった熱々のステーキを想像してたことだけは絶対に見抜かれないように、必死で平然を装った。
後で分かったことだが、これは酒のつまみらしい。
トニックウォーターしか頼んでないのに。